包括遺贈と特定遺贈

①包括遺贈とは、遺産を特定することなく割合で指定する遺贈をいいます。

包括受遺者は相続人と同一の権利義務を有することになるため遺贈の放棄や限定承認は相続開始の日から3ヶ月以内に行う必要があります。

②特定遺贈は具体的に財産を指定する遺贈です。

特定受遺者はいつでもこの遺贈の全部又は一部を放棄することができます。放棄された遺産については分割協議を行うことになります。

遺言

満15歳に達した者は、遺言をすることができます。満15歳未満の者や意思能力のない者の遺言は無効です。

遺言の方式

1,自筆証書遺言

遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに押印する方式です。自筆証書中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、その変更の場所に印を押さなければ、その効力がありません。

自筆証書遺言は、いつでも作成でき、証人もいらず、簡便ですが、証書の紛失、改変の可能性があり、また、要式不備の場合には無効になることがあります。

2,公正証書遺言

公正証書遺言は、次の方式によります。

①遺言にあたって、2人以上の証人が立ち会うこと。

②遺言者が遺言の趣旨を公証人に口述すること。

③公証人が、遺言者の口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせること。

④遺言者及び証人が、筆記の正確なことを確認した後、各自署名押印すること。

⑤公証人が、この証書を上記の方式に従って作ったものである旨を記して、署名押印すること。

公正証書遺言は、作成手続が面倒であり、費用がかかる上、遺言書内容の秘密が守られないことがあります。しかし、公証人が作成するため、要式不備が生じることなく、原本は公証人が保管するため、紛失や偽造の心配はありません。

3,秘密証書遺言

遺言者が遺言書を作成・署名押印・封入後、公証人役場で自己の遺言書である旨を証明してもらう方式。証人2人以上が必要です。要件不備の場合には無効になります。

遺産分割の効果

遺産分割によって各相続人が取得した財産は、相続開始時に遡って被相続人から直接承継したことになります。ただし、遺産分割前になされた相続人の行為等に基づく第三者の権利を侵害することはできません。

財産が分割されるまでの間にその財産から収益が生じた場合、その収益は法定相続分に応じて各相続人に帰属します。所得税の申告時までに分割が行われなかった場合、各相続人にはその相続分に応じた所得課税が行われます(その後分割が行われても、修正申告や更正の請求は行いません。これは課税庁が民法909条但書の「第三者」に該当するためです。)。

利益相反行為

共同相続人中に、①親権者とその親権に服する未成年の子がいるとき、②同一の親権に服する複数の未成年の子がいるときに、その親権者が未成年者の法定代理人として遺産分割手続きを行うと、①親権者と未成年者②未成年者間の利益相反行為となります。

この場合、未成年者のために特別代理人の選任を家庭裁判所に請求する必要があります。

遺産分割

分割の方法

現物分割  遺産を現物のまま分割する方法

代償分割  特定の相続人が相続財産の現物を取得し、その相続人が他の相続人に金銭等の資産を交付する方法

        (資産を譲渡した場合には、その取得者だけに譲渡所得)

換価分割  相続財産の全部又は一部を未分割状態で換金して、その代金を相続人間で配分する分割

        (相続人全員が譲渡所得の対象)

相続の放棄

相続の放棄により、はじめから相続人とならなかったものとみなされます。(代襲相続の原因にはなりません。)

相続の放棄者であっても、被相続人から特定財産の遺贈を受けたり生命保険金を取得して、相続税の納税義務が生じることがあります。

この場合には次の規定は適用されません。

①生命保険金等の非課税

②死亡退職金の非課税

③債務控除(ただし、相続放棄者が被相続人の葬式費用を負担した場合には、その負担費用の控除が認められています。)

④相次相続控除

相続の承認・放棄

相続人は相続開始の時から被相続人に属した財産上の一切の権利義務を承継しますが、相続人には相続の承認又は放棄を選択する権利が与えられています。

相続の承認

1,単純承認

 相続財産・債務を全面的に承継します。(相続財産をもって相続債務を弁済しきれない場合、相続人の個人財産により弁済しなければな 

 りません。)

  以下の事由が生じた場合は単純承認をしたものとみなされます。

 ①相続財産の全部又は一部の処分

 ②熟慮期間(3ヶ月)の経過

 ③背信的行為(相続人が限定承認又は放棄をした後、相続財産の隠匿、消費等をすること)

2,限定承認

 相続財産の範囲において債務及び遺贈の義務を負担します。

 相続人が複数いるときには、全員の共同が必要です。   

 

親族の範囲

親族とは

1,6親等内の血族

2,配偶者

3,3親等内の姻族

法定相続分

1,子、直系尊属又は兄弟姉妹が2人以上いるときは各自の相続分は均等。

2,非嫡出子の相続分は嫡出子の2分の1。

3,代襲相続人の相続分はその被代襲者の相続分と同じ。

4,複数の代襲相続人の相続分は均等。

5,半血兄弟姉妹(父母の一方を同じくする兄弟姉妹)の相続分は全血兄弟姉妹(父母の双方を同じくする兄弟姉妹)の2分の1。

6,被相続人が孫を養子にした場合、養子となった孫は、養子としての相続分と代襲相続人としての相続分を合わせて取得します。

非嫡出子

1,法律上の婚姻関係にない男女の間に生まれた子。

2,母子関係は分娩の事実により認め、父子関係は認知によって生じる。

3,非嫡出子も準生(婚外子が婚内子たる身分を取得する制度)によって嫡出子となることができる。

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